2013年8月2日金曜日

第五百七夜/ムラサキシジミの母蝶

 ムラサキシジミ(Narathura japonicaの母蝶が静かに、丁寧に、ゆっくりとアラカシの生垣の葉に卵を産みつけていた。生垣では春先から徒長した枝の高さを揃える刈り込み作業がされている。幼虫は新芽だけを食べるので、本来なら卵も新芽近くに産みつける。もし徒長した枝に卵を産みつけると、孵化する前に刈り込まれてしまうだろう・・・この母蝶はこのことを知っているかの様に刈り込まれない高さの葉に産みつけている。今、この位置に産みつけておけば、刈り込まれた後にすぐに出て来る新芽にも近く、ふ化した幼虫にも都合が良い。普通ならこんなごわごわの葉に産みつければふ化した幼虫はこの葉を食べる事は出来ないし、また新芽を探すにも困難な状況となる。むしろ産卵場所を同じ条件ではない場所にする事で、一時的な環境の変化にも耐えることが出来ると言う「生き残りのための戦略」だろうか。観ていてまったく不思議な光景だった。Photo:2013/08/02 @京都御苑、京都市

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